public:論文のお作法

論文のお作法

本ページはインダストリアルアート学科の学生(特に馬場研究室)を対象とした論文のお作法に関するページです. デザイン系から急に論文を書くと前提となる知識を共有するのが時間がかかるので,初めて論文を書く人 もしくは,忘備録として本ページを活用してください.

なお、卒業論文または修士論文を書こうとしている人は合わせて学位論文を書くもチェックしてください。

論文タイトルは記述した論文を一言で言い表すものにします.研究の一部分やぼやっとしたタイトルではなく,具体的に 何をやっているのかタイトルを読んだだけでも伝わるようにしましょう.

  • 悪い例:災害移動時におけるモビリティの活用
  • 良い例:災害移動時における自動二輪モビリティを利用した情報ネットワークの構築手法

著者名には自分だけでなく,指導教員の氏名も慣例として原則入れます.ただし指導教員が全く研究に貢献していない,もしくは研究室での研究内容と まったくもって無関係のものを学会で発表する場合は単著でも構いません。論文を記述する際、改めて指導教員やあなたの周辺の友人等がこの論文にたいしてどの程度貢献したかを客観的(研究室の機材や研究費を利用したかどうか、教員は適切な指導をしてきたか、友人が具体的に論文添削や研究骨子の議論に参加していたか等)に見直し、共著に入れるかどうかを判断しましょう。

卒論や修論では自分の氏名のみですが,一般的には学会では自分だけで発表する(単著)ことはあまりありません.フリーランスの研究者や心底教員と折が合わない学生等の場合に限定されます.逆を言うと、例えば大学所属で研究発表をする予定だけど、指導教員名がなかったりする場合、傍からみると「教員となにかったのかしら」と余計な心配を周りにかけるケースもあるということです。

共著で論文を執筆する際,誰を最初に書くか,最後に書くかについてもお作法があります.最初の著者のことをFirst Author(第一著者)と呼び,論文に最も貢献した人となります.主たる成果はこの第一著者がなしたことを意味します.学会で学生発表賞等を授与する際,学生が連名で発表していても,第一著者が表彰されたりします.なお指導教員は一番最後にしておきます.研究室以外と連携して行い,教員が複数いる場合は所属指導教員に名前の順番をどのようにすべきか確認をしてください.

ほとんどの論文では最初に summaryやabstractといった論文の概要を記述します.例えば,Aという問題に対してBという解決方法を試して見た結果,実験からこのようなことがわかった.といった研究全体の流れを説明します.例えば実験をした場合は,概要に「〜の結果を述べる」と記述するのではなく,「実験の結果,〜が〜であることが示された」までを概要で述べます.つまり,概要とは,論文全体を短い文章で言い換えたものになります.ですので,論文全体が記述できていないと概要は記述することができません.この原則に注意してください.

よくある失敗した概要の書き方として,研究論文全体が完成していない段階で論文概要を描いてしまったため,内容がふわっとしてしまうことがあります.この他、研究背景の話をしているだけの、概要をintroductionと間違えている事例もよくあります。

  • 「です」,「ます」ではなく,「である」で記述する
  • 口語はダメ.
  • 主語は「私」ではなく「著者」もしくは「著者ら」,「我々」とする.
  • 句読点は「.,」とする.ただし縦書き論文は「。、」が良い.この設定はIMEの環境設定で可能
  • 無駄な段落はやめる.一つの文脈の塊として段落を使う.
  • 3文字以上のカタカナ単語で末尾に長音記号「ー」が付く場合は表記を省略する(例:コンピューター → コンピュータ)」
  • 「思う」,「したい」,といった主観的な言葉は用いない.「推察される」,「好まれる」等の言葉を使い,裏を取る
    • 悪い例:清澄白河はここ数年でアートとカフェの街として注目されるようになった
    • 良い例:平成28〜32年の江東区観光推進プラン(後期)[文献番号]において,江東区は新たな観光資源として清澄白河のカフェブームに着目している.
  • なるべく数値で説明する
    • 悪い例:近年,環境客の来日者数はうなぎのぼりである.
    • 良い例:2016年の国土交通省発行の観光白書によれば,平成25年度の訪問外国人旅行者はこの10年で約3倍(1,973万人)にまで急激に増加している.
  • 接続詞の利用を見直す。正しい接続詞を用いているかどうか。
    • 悪い例:私はお寿司が好きだ、しかしラーメンも好きだ。(小説等の文章表現としてはあり得る使い方。新聞ではこんなふうには書かない)
    • 良い例:私はお寿司が好きだ、しかし穴子の握りは嫌いだ。(接続詞「しかし」は逆説の意味なので、前の文章とは逆のこと言う必要がある)
    • 良い例:私はお寿司が好きだ、さらにラーメンも好きだ。(ラーメンも好きだを残すのであれば、この場合接続詞としては「さらに」が適切)
  • 正しい文法,わかりやすい日本語で記述することを心がけてください.科学技術系論文では含みをもたせた表現や,別の意味合いでも読める文章等は好まれません.言い換えれば新聞に記載される文章が理想的です.事実を淡々として伝える文章です.かつて新聞記者だった方(本多勝一さん)が書いた本,日本語の作文技術がこのような文章作成方法として広く知られています.
  • 同じことを意味する単語を別の単語で記載してはいけません.文章を読む人にとって,たとえ著者としては同じ意味で使っていても,単語が変わることで別の意味を表しているのかな?と勝手な推察をされてしまいます.
    • 悪い例:ユーザは画面から80cm離れた位置に着座し,ディスプレイ中央を注視し続ける.(読者視点:画面とディスプレイは別ものを意味している・・?)
    • 良い例:ユーザは画面から80cm離れた位置に着座し,画面中央を注視し続ける.
  • 図・表には必ずキャプション(説明)を入れる
  • 図のキャプションは必ず図の下に入れる.
  • 表のキャプションは必ず表の上に入れる.
  • 図(表)1にhogehogeのhogehogeを示す.という具合に、必ず本文中で図(表)番号を参照して説明すること。以下は参照方法の例を示す
    • 例1: 図1にhogehogeのhogehogeを示す
    • 例2: hogehogeはhogehogeである(図1参照)。
  • キャプションは体言止めではなく,文章を記載すること.本文を読まなくても図(表)とキャプションだけで読者の理解を助ける説明が理想です.あまり長くなってしまうと見栄えが,,.なんて思うかもしれませんが,論文では見栄えは気にする必要はありません.論文が美しいから研究がすばらしいと言われることはありません.あたりまえですが.図を説明するために説明が4行,5行になっても構いません.

参考文献の書式についてはそれぞれの学会がだすフォーマットに必ず従ってください.例えば下記の様にします.

  • [1] Sutherland, I. E., Ten Unsolved Problems in Computer Graphics, Datamation, Vol. 12, No. 5, pp. 22-27, 1966.
  • [文献番号] 氏名(共著者がいる場合は,カンマ区切りで全員記載),発表タイトル,発表会議名,学会名,予稿集のページ番号,西暦

が基本的なフォーマットです. TeXを利用していれば気にすることはないでしょう。

参考文献に記載する文献は必ず論文中で引用しなければなりません。引用の仕方にはいろいろありますが、一般的には次のような引用の仕方が多いです。

  • …. hogehogeら[1]によれば、…..
  • …. Computational Topologyによる解決手法[1]も提案されている.
  • 文献[1]ではクリティカルシンキングの観点から本問題を議論している。
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  • 最終更新: 2024/01/14 12:12
  • by baba