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public:論文のお作法 [2021/03/19 06:30] baba [文章の書き方] |
public:論文のお作法 [2024/01/14 11:23] baba [図・表] |
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==== 共著の順番 ==== | ==== 共著の順番 ==== | ||
- | 誰を最初に書くか,最後に書くかについてもお作法があります.最初の著者のことをFirst Author(第一著者)と呼び,論文に | + | 卒論や修論では自分の氏名のみですが,一般的には学会では自分だけで発表する(単著)ことはあまりありません.フリーランスの研究者や心底教員と折が合わない学生等の場合に限定されます.逆を言うと、例えば大学所属で研究発表をする予定だけど、指導教員名がなかったりする場合、傍からみると「教員となにかったのかしら」と余計な心配を周りにかけるケースもあるということです。 |
- | 最も貢献した人となります.主たる成果はこの第一著者がなしたことを意味します.学会で学生発表賞等を授与する際,学生が連名で | + | |
- | 発表していても,第一著者が表彰されたりします.なお指導教員は一番最後にしておきます.研究室以外と連携して行い,教員が複数いる場合は所属指導教員に名前の順番をどのようにすべきか確認をしてください. | + | 共著で論文を執筆する際,誰を最初に書くか,最後に書くかについてもお作法があります.最初の著者のことをFirst Author(第一著者)と呼び,論文に最も貢献した人となります.主たる成果はこの第一著者がなしたことを意味します.学会で学生発表賞等を授与する際,学生が連名で発表していても,第一著者が表彰されたりします.なお指導教員は一番最後にしておきます.研究室以外と連携して行い,教員が複数いる場合は所属指導教員に名前の順番をどのようにすべきか確認をしてください. |
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+ | ===== 概要とは ===== | ||
+ | ほとんどの論文では最初に summaryやabstractといった論文の概要を記述します.例えば,Aという問題に対してBという解決方法を試して見た結果,実験からこのようなことがわかった.といった研究全体の流れを説明します.例えば実験をした場合は,概要に「〜の結果を述べる」と記述するのではなく,「実験の結果,〜が〜であることが示された」までを概要で述べます.つまり,概要とは,論文全体を短い文章で言い換えたものになります.ですので,論文全体が記述できていないと概要は記述することができません.この原則に注意してください. | ||
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+ | よくある概要の書き方として,研究論文全体が完成していない段階で論文概要を描いてしまったため,内容がふわっとしてしまうことがあります. | ||
===== 文章の書き方 ===== | ===== 文章の書き方 ===== | ||
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* 句読点は「.,」とする.ただし縦書き論文は「。、」が良い.この設定はIMEの環境設定で可能 | * 句読点は「.,」とする.ただし縦書き論文は「。、」が良い.この設定はIMEの環境設定で可能 | ||
* 無駄な段落はやめる.一つの文脈の塊として段落を使う. | * 無駄な段落はやめる.一つの文脈の塊として段落を使う. | ||
+ | * 3文字以上のカタカナ単語で末尾に長音記号「ー」が付く場合は表記を省略する(例:コンピューター → コンピュータ)」 | ||
* 「思う」,「したい」,といった主観的な言葉は用いない.「推察される」,「好まれる」等の言葉を使い,裏を取る | * 「思う」,「したい」,といった主観的な言葉は用いない.「推察される」,「好まれる」等の言葉を使い,裏を取る | ||
* 悪い例:清澄白河はここ数年でアートとカフェの街として注目されるようになった | * 悪い例:清澄白河はここ数年でアートとカフェの街として注目されるようになった | ||
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* 良い例:私はお寿司が好きだ、しかし穴子の握りは嫌いだ。(接続詞「しかし」は逆説の意味なので、前の文章とは逆のこと言う必要がある) | * 良い例:私はお寿司が好きだ、しかし穴子の握りは嫌いだ。(接続詞「しかし」は逆説の意味なので、前の文章とは逆のこと言う必要がある) | ||
* 良い例:私はお寿司が好きだ、さらにラーメンも好きだ。(ラーメンも好きだを残すのであれば、この場合接続詞としては「さらに」が適切) | * 良い例:私はお寿司が好きだ、さらにラーメンも好きだ。(ラーメンも好きだを残すのであれば、この場合接続詞としては「さらに」が適切) | ||
+ | * 正しい文法,わかりやすい日本語で記述することを心がけてください.科学技術系論文では含みをもたせた表現や,別の意味合いでも読める文章等は好まれません.言い換えれば新聞に記載される文章が理想的です.事実を淡々として伝える文章です.かつて新聞記者だった方(本多勝一さん)が書いた本,[[https:// | ||
+ | * 同じことを意味する単語を別の単語で記載してはいけません.文章を読む人にとって,たとえ著者としては同じ意味で使っていても,単語が変わることで別の意味を表しているのかな?と勝手な推察をされてしまいます. | ||
+ | * 悪い例:ユーザは画面から80cm離れた位置に着座し,ディスプレイ中央を注視し続ける.(読者視点:画面とディスプレイは別ものを意味している・・?) | ||
+ | * 良い例:ユーザは画面から80cm離れた位置に着座し,画面中央を注視し続ける. | ||
===== 図・表 ===== | ===== 図・表 ===== | ||
* 図・表には必ずキャプション(説明)を入れる | * 図・表には必ずキャプション(説明)を入れる | ||
* 図のキャプションは必ず図の下に入れる. | * 図のキャプションは必ず図の下に入れる. | ||
* 表のキャプションは必ず表の上に入れる. | * 表のキャプションは必ず表の上に入れる. | ||
- | * 図(表)1にhogehogeのhogehogeを示す.という具合に必ず本文中で図(表)番号を参照して説明すること | + | * 図(表)1にhogehogeのhogehogeを示す.という具合に、必ず本文中で図(表)番号を参照して説明すること。以下は参照方法の例を示す |
- | * キャプションには体言止めではなく,文章で記載すること.本文を読まなくても図(表)とキャプションだけで読者の理解を助ける説明が理想 | + | * 例1: 図1にhogehogeのhogehogeを示す |
+ | * 例2: hogehogeはhogehogeである(図1参照)。 | ||
+ | * キャプションは体言止めではなく,文章を記載すること.本文を読まなくても図(表)とキャプションだけで読者の理解を助ける説明が理想です.あまり長くなってしまうと見栄えが,,.なんて思うかもしれませんが,論文では見栄えは気にする必要はありません.論文が美しいから研究がすばらしいと言われることはありません.あたりまえですが.図を説明するために説明が4行,5行になっても構いません. | ||
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* [文献番号] 氏名(共著者がいる場合は,カンマ区切りで全員記載),発表タイトル,発表会議名,学会名,予稿集のページ番号,西暦 | * [文献番号] 氏名(共著者がいる場合は,カンマ区切りで全員記載),発表タイトル,発表会議名,学会名,予稿集のページ番号,西暦 | ||
- | が基本的なフォーマットです. | + | が基本的なフォーマットです. |
==== 引用の仕方 ==== | ==== 引用の仕方 ==== |